領域【物理から生物】の趣旨

領域【物理から生物】の趣旨

自然の根本原理を知りたいという人間の好奇心は、自然の法則という体系をつくりながらも、未知なる領域に挑戦しつづけます。本領域では,自然の根本原理をつかって、未知なる領域にアプローチする研究発表を募集します。

領域代表のあいさつ
沢田康次( 東北工業大学 学長)

沢田康次

1962年 東京大学大学院工学研究科電子工学専攻卒業
1966年 ペンシルバニア大学物理学科博士課程修了Ph.D
1973-2001年 東北大学電気通信研究所教授
2001年 東北工業大学教授・現学長

「生き生きしている現象」と「生きていることの科学」に興味がある。前者はカオスによって代表される非線形力学および樹脂状結晶やフラクタルの成長形態、後者は自己組織と環境制御による個の確立過程である。

科学の進歩は、「なぜか?」と問いかけることが根本です。「なぜか?」と、問いかけることは、その現象だけを信じることではなく、その現象を生み出しているより大きな原理を求めることです。答えをだすために、ひとつの現象だけをみて感動するのではなく、類似の現象または、少し違った現象との関係を調べることが、極めて大事です。ガリレオは望遠鏡を使って、木星にも月があることを見つけ「地球も太陽の周りを回っているのでは?」と考えました。このような思考のプロセスを現象の相対化といいます。科学は、相対化することなしにはすすみません。

 物理学は、むずかしい式を使いまわして、新しいことを見つけるのではありません。相対化の考えを使って、新しい現象の理解をすすめることが物理なのです。物理の手法は生物の理解にも、力を発揮します。「人間らしさっていうのは、なんでしょう?」このような新しい領域に問いかけるのも物理です。わたしたちは、ヒトの心を人文学的なアプローチだけではなく、科学的にも研究する必要を感じ研究してきました。ガリレオの時代は、天空の運動は、神の業として、科学から遠ざけられていました。現在においても、ヒトの心の働きは人文学の領域だとして、科学から遠ざけられています。ガリレオが天空の動きを相対化したように、心の働きを相対化して、その解明に努めることが大事だと考えています。

相対化といいましたが、その出発点は「なぜか?」という問いかけを持つことです。しかし、実はその前に不思議だという気持ち、感動が、natural scienceをやるときの一番のスタートです。雪の結晶をみて、きれいだと思ったら、感動するでしょ。「なぜか?」と問いかけて、原理を見つけることができたら、解決できる問題がひろがっていきます。なんといっても、一番大事なのは、美しいものに感動する心です。「すごい、なにこれ?」という感動の体験をもってほしいと思います。

●領域アドバイザ

武田 曉(東京大学名誉教授、東北大学名誉教授)

●協力

東北工業大学

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■ 【2008年の開催レポート】
第1回 natural science シンポジウム(2008.07.13)