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サイエンスデイ2019

開催趣旨

 近年、我が国の科学技術研究および産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、子どもたちの「理科離れ」が叫ばれています。「理科離れ」は単に「個人的に理科が嫌い」という問題ではなく、理科を学ぶ過程で本来養われるはずの「知的好奇心」や「論理的思考力」等の低下を意味しています。その結果として、文理問わず高等教育を理解できない学生が増大し、大学教育の質の維持が著しく困難に陥っているというかたちで問題は顕在化しており、もはや「理科離れ」問題は、国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。

 これらの社会的背景に、社会の細分化・複雑化に伴い、個々は専門家に任せ、表面だけを利用するブラックボックス化が進んだことがあります。その結果、わたしたちは効率性と引き換えに、本来そこにあるはずの自己と対象との関係性を実感することが困難な状況に陥っています。しかしながら本来、自己と対象との関係性の集積が、すなわち社会です。この自己と対象との関係性が見えない危機こそが、個人・地域社会・国レベルでの問題の本質的な原因とnatural science では捉え、そこから解決策を見出していきます。

 自己と対象との関係性を実感しやすい範囲として、natural science は社会の中でも特に“地域”に着目します。自分が社会に与えている影響と自分が社会から受けている影響を実感できることで、人は自らの社会的存在意義を自覚し、主体的に活動することができます。このようなひとり一人の内発的モチベーションによる主体的なアクティビティーが、地域をつくり、そして社会全体をつくるドライビングフォースとなります。つまり“地域”こそが、社会をつくる基盤であると同時に、社会全体をつくる原動力として、大きな可能性を秘めているのです。

 そもそも「科学」の本質は観察からはじまります。対象に直接触れ、自分の目で見て、自己と対象との関係性を五感で感じることなしに、知的好奇心・論理的思考力が養われることはありません。「科学」と言うと「科学は専門家だけが知っていればいい」と自己と科学との関係性を認識しようとしない風潮や、または成果ばかりが注目されがちですが、そこに至るまでのプロセスにこそ、知的好奇心や論理的思考力をはじめとする、科学的なものの見方・考え方、すなわち自己と対象との関係性を構築する姿勢が隠されています。

 natural scienceでは、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、「科学」を切り口に、自己と対象との関係性の可視化・再構築の場として機能することを「科学で地域づくり」と位置づけ、日々の科学教育プログラムの開発・実施のほか、大学・研究機関や企業、行政・教育機関等と連携し、2007年から毎年、体験型科学イベント『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を開催しています。『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「“科学”って、そもそもなんだろう?」をテーマに、製品や成果等の“結果”だけでなく、科学や技術の“プロセス”を五感で感じられる場づくりを通じて、子どもから大人まで、各人各様の感じ方から自己と対象との関係性を可視化・再構築する場として機能することを目指すものです。

 そもそも人間は生まれながらにして知ることを欲する存在です。そして生まれた創造物が共有されることは喜びです。この認識に立つ時、科学は人の本性に根ざすものとなり万人のものとなるでしょう。こうした共感の輪を生み出す循環こそが、人間の本来持つ内発的モチベーションがさらに発揮され、次、その次に登場する科学や技術が継続的に生み出され、わたしたちの心豊かな社会が達成されていく土壌となるはずです。

 知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造に資することを願い、今年も『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を開催いたします。皆さまのご理解・ご協力・ご参加を、心よりお待ち申し上げております。

特定非営利活動法人 natural science


企画概要

科学のプロセスを子どもから大人まで五感で感じる日

五色のサイエンスの文字は、「五感で感じること」と「科学の多面性」を表しています。また黒箱は、「ブラックボックスを開けること」と「多様な主体が一堂に集う場」を表しています。

 社会の成熟化に伴い、科学や技術はブラックボックス化し、わたしたちは便利さと引き換えに、科学や技術の“プロセス”を五感で感じる機会を失ってきました。しかしながら、科学や技術のもたらす“結果”のみを一方的に享受するだけの姿勢では、科学離れや科学リテラシー不足などの社会的リスクを回避することはできません。

 一方で、ここ仙台・宮城は、「科学」という切り口で見ると、大学・研究機関、民間企業や行政・教育機関等が密集し、研究者や技術者等が日々研究・開発等の活動を行い、わたしたち市民の生活と科学・技術が隣り合わせで存在する、古くから「学都」と呼ばれる地域です。

 この地域の特性を活かし、「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、科学や技術の背景にある“人”や“プロセス”を自らの五感で感じられる場として、『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を毎年開催します。

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「科学」を切り口に地域を再発見し、関係性再構築の場として機能することで、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造に資することを目指します。

ステップと期待する効果

ステップ① 科学の"プロセス"を体験

 各出展団体の現場の"人"が「おもしろい」と思う"プロセス"を形にした体験型プログラムを通じて、普段なかなか実感できない"プロセス"を体感することで、子どもから大人まで各人各様の感じ方から自然な形で興味・関心が喚起される。

ステップ② 研究者や技術者等の現場の"人"との対話

 喚起された興味・関心は各人 各様であり、それぞれの人が「知りたい」と思うところから、研究者や技術者等の現場の“人” との対話を通じて、各自が興味・関心を深めることができる。

ステップ③ 生活の中で関連事項と遭遇

 本企画は地域資源で構成されているため、本企画終了後も、市民が普段の生活の中で関連事項と遭遇する機会は多い。これまで何気なく利用していた製品や成果等の"結果"を見ても、本企画をきっかけに"プロセス"があることを想像でき、興味・関心が継続し、身近に感じられる効果が期待される。

ステップ④ 年間を通じた科学イベントへの参加

 本企画の"見本市"的な特徴を活かし、「学都仙台・宮城サイエンスコミュニティ」会員登録により、各出展団体が開催する一般むけ科学イベント(一般公開や市民むけ講座など)情報を市民へ直接的・継続的に配信できるシステムをつくることで、年間を通じて市民が科学に触れられる機会を増やす。

ステップ⑤ 毎年恒例イベントとして参加

 毎年開催により認知度は高まりつつあるが、今後も地道に連携機関を増やし、地域の毎年恒例イベントとして定着化を図ることで、科学・技術に興味・関心のある人から、普段は科学イベントにあまり参加しない人まで、幅広い層が科学・技術を楽しむことができる場を地域に創出していく。

ステップ⑥ お互いに応援し合うコミュニティへ

 各主体の取組みについて、各主体や市民がお互いに応援し合ったり、表彰し合えるしくみ(サイエンスデイAWARD等)をつくることで、相互理解を深めながら誰もが主体的に科学に参加できる持続可能な『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の構築を目指していく。

ステップ⑦ 科学と社会をつなぐ優れた方法論を共有

 サイエンス・デイ オブ ザ イヤーの審査を通じて、科学と社会をつなぐ優れた方法論を発見し、地域で共有化するしくみをつくることで、次なる創造へとつなげていく。

今年の新しいポイント

● サイエンス・デイのチラシ裏面に、科学イベント情報を掲載できます
 (県内の全公立小中学校並びに出展高校等に約23万部を学校配布予定) 

 今年下半期に開催される科学イベント情報を一元的にまとめた『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ~科学イベント編~』を、今年度もサイエンス・デイのチラシ裏面(県内の全公立小・中学校及び出展高校等に全児童・生徒分の約23万部を6月下旬~配布予定)を活用して作成し、学校配布します。科学イベント情報掲載ご希望の方は、natural science までご連絡ください。

● 科学イベント情報告知・申込・受付自動化システムを利用できます
 (学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ会員:約2万5千人) 

 『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の個人会員(約2万5千人) むけに、各団体が年間を通じて開催している科学イベント情報を告知し、 申込・受付を自動化できるWebシステムを利用できます(無料)。 ご希望の方は、本コミュニティのWebサイトからお申し込みください。



● 「光」ゾーンを新たに設けて“光”に関するミニブース出展を募集し、光の波長ごとに並べる今年初の試み

 サイエンス・デイでは、「科学・技術の地産地消」と銘打ち、地域の多様な科学のプロセスを可視化・共有化できる場づくりの一環として、非専門家でも科学・技術を俯瞰しより深く理解できる方法論の開発・実践に取り組んでいます。2014年度からは、“光(電磁波)”を切り口に、地域の科学・技術を可視化する『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を毎年作成し、サイエンス・デイ来場者並びに関係各位からご好評いただいております。さらにサイエンス・デイ2018では新たな試みとして、より深い理解へと導く場づくりを目指し、『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を実際に五感で体験できる“リアル版”として、“光”に関するミニ出展ブースを募集します。光速(c)にかけて会場の講義棟C棟1階(来場者数が最も多いエリア)に“光”ゾーンを新設し、電磁波の波長ごとに光に関する展示品を並べる予定です。来場者は『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を片手に、“光”ゾーンをまわることで、より理解を深めていただくという趣向です。なお、本企画については、一部屋になるべく多くの“光”に関する展示品を並べることで俯瞰した理解をねらいとするため、1出展あたりの展示スペースは机1、2個程と小さく、説明人員も必須ではありません。通常出展とリンクしたW出展もより深い理解につながるため歓迎します。光に関わる研究・開発をされている方はぜひお申込みください。


● 出展者は自動的にエントリー。確実に審査を受けたい方は自己推薦書の提出を。

 サイエンス・デイでは、科学・技術を社会・一般に伝える優れた方法論を審査・表彰によって可視化・共有化することを目的として、「サイエンス・デイ オブ ザ イヤー」を2016年度から実施しています。サイエンス・デイの出展者は自動的にエントリーされますが、審査員による審査を確実に受けたい方、及び出展の意図を確実に伝えたい方は、出展申込書とは別に所定の自己推薦書を2019年6月28日(金)までにメールで提出してください。(提出先:info@natural-science.or.jp)

開催概要

名  称
①学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2019(第13回)
②サイエンスデイAWARD2019表彰式
③サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2019 表彰式
日  時
①2019年7月14日(日) 9:00~16:00
②2019年7月19日(金)15:00~17:00 予定
③8月中旬で調整中
会  場
①【メイン】東北大学川内北キャンパス 講義棟 (仙台市青葉区川内41)
 【サテライト】東北大学工学研究科・工学部サイエンスキャンパス
②東北大学工学研究科・工学部サイエンスキャンパスホール((仙台市青葉区荒巻字青葉6-6)
③調整中

会場となる東北大学内に、駐車場はございません。
路上駐車場及び周辺施設への駐車は、固くお断りいたします。
ご来場の際には、公共交通機関をご利用ください。

アクセス
仙台駅からのアクセス
主  催
特定非営利活動法人 natural science (2007年6月設立)
共  催
※昨年実績
( 申請中)
東北大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所 東北センター、東北大学多元物質科学研究所、仙台市教育委員会、仙台高等専門学校、東北工業大学、公益社団法人応用物理学会東北支部、一般社団法人日本物理学会東北支部、一般社団法人電子情報通信学会東北支部、 公益社団法人日本金属学会東北支部、東北大学工学研究科・工学部創造工学センター、東北大学知の創出センター
後  援
※昨年実績
( 申請中)
文部科学省、宮城県、仙台市、宮城県教育委員会、国立研究開発法人科学技術振興機構、東北工学教育協会、東北経済産業局、 一般社団法人東北経済連合会、公益財団法人東北活性化研究センター、国立研究開発法人理化学研究所、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、仙台管区気象台、学都仙台コンソーシアム、 東北学院大学、宮城大学、東北生活文化大学、一般社団法人みやぎ工業会、宮城県中小企業団体中央会、公益財団法人みやぎ産業振興機構、一般社団法人宮城県発明協会、仙台市PTA 協議会、仙台商工会議所、仙台経済同友会、一般社団法人電気学会東北支部、一般社団法人情報処理学会東北支部、一般社団法人映像情報メディア学会東北支部 、公益社団法人石油学会東北支部、一般社団法人日本光学会、公益社団法人日本技術士会東北支部、 公益社団法人日本分光学会東北支部、公益社団法人 日本磁気学会、公益社団法人日本天文学会、公益社団法人日本水産学会東北支部、一般社団法人日本エネルギー学会東北支部、一般社団法人照明学会東北支部、公益社団法人土木学会東北支部、一般社団法人日本建築学会東北支部、公益社団法人日本生物工学会、一般社団法人日本機械学会東北支部、公益社団法人日本化学会東北支部、公益社団法人日本建築家協会東北支部、公益社団法人高分子学会東北支部、公益社団法人 計測自動制御学会東北支部、公益社団法人 空気調和・衛生工学会東北支部、日刊工業新聞社東北・北海道総局、産経新聞社東北総局、読売新聞東北総局、毎日新聞仙台支局、朝日新聞仙台総局、河北新報社、東北放送、仙台放送、TBC東日本放送、NHK仙台放送局、ミヤギテレビ、エフエム仙台
入 場 料
無料
来場対象
こどもからおとなまでどなたでも
来場見込
約11,000人(2018年度実績:10,666人)
出展費用
無料(ただし出展に関わるその他の費用はご負担下さい)
出展募集
講座プログラム型:約40プログラム、体験ブース型:約70ブース
お問合せ
特定非営利活動法人 natural science 事務局 大草芳江
〒980-0023 仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル7階
Tel.022-721-2035
URL http://www.natural-science.or.jp/
お問合せフォームはこちら
備  考
本イベントは学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ(JST科学技術コミュニケーション推進事業「ネットワーク形成地域型」平成25年度~平成27年度採択事業、提案期間:宮城県、運営機関:特定非営利活動法人 natural science)の土壌づくりの一環として開催されています。

応援メッセージ

掲載順序は到着順です

宮城県知事 村井 嘉浩 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2019』が開催されますこと,心よりお祝い申し上げます。
 私たちの生活は,科学技術の進歩により日々便利になっています。しかし,私たちは,身の回りの物事や技術を当たり前のものとして,その仕組みを意識せずに利用してしまいがちです。『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』は,それら普段意識されない科学のプロセスを体感しようというテーマで始まり,県内の大学・研究機関,関連企業の皆様の御協力の下,子どもから大人までが,科学技術を楽しみながら身近に五感で体験できるイベントとして定着してきました。引き続き,多くの方々の科学技術への理解を大いに深める場となることを期待しております。
 本県は,震災からの復興に向け,一丸となって取り組んでいるところですが,このイベントに多くの企業様や県民の皆様が参加され,宮城,東北を元気にするイベントになることを心から期待します。

仙台市長 郡 和子 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2019』の開催に当たり、心よりお喜び申し上げます。
 私たちの暮らしには、様々な機器や装置があふれ、毎日の便利な生活を実現しています。最近ではAI機器の普及など、技術革新がどこまで進むか楽しみな一方で、こうした機器がどんな原理で動いているのか、不思議にも思わずに過ごしてしまうこともしばしばです。
 このサイエンスデイでは、「知りたい」と思う気持ちを刺激し、科学原理を五感で学ぶ工夫が凝らされています。科学を学び、楽しむ心は、これからの技術進展を支える上でも欠かせません。「学都仙台」で開催されるこのサイエンスデイに、毎年多数のお子さんが来場し、また、中学・高校生が出展者として参加されています。本イベントが、次代を担う若い世代の育成に、着実に貢献されていることを嬉しく思います。実施に当たり、大学・研究機関や企業の皆様など、ご協力をいただいた方々に深く感謝申し上げます。
 本イベントが成功し、サイエンスを楽しむ市民の輪が仙台・宮城の地から大きく広がりますことを期待しております。

東北大学総長 大野 英男 さん

 本年も東北大学川内キャンパスを会場に学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2019が開催されますこと、大変嬉しく思います。
 「学都仙台」を象徴する夏の催しとして定着した感のあるサイエンス・デイも、今回で13回目を数え、ここ数年は実に1万人を超える市民の皆さまにお越しいただいております。
 今回も地域の大学、研究機関、企業のご協力の下、例年にも増して充実した「科学」を体験できるプログラムが多数用意されております。
 私ども東北大学も日本を代表する総合研究大学として、科学の力でこれからの社会を豊かにするため、様々な挑戦をしています。今回もいくつかのプログラムで本学の挑戦の一端をご紹介しておりますので、お運びいただければ幸いです。
 本イベントを通して一人でも多くの市民の皆さんが「科学」に触れ、科学への興味・関心が増進するきっかけとなることを願っています。

東北大学理事・副学長(社会連携・震災復興推進担当) 原 信義 さん

 電圧の単位のボルトは、ボルタ電池の発明で知られるイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタの名前に由来しています。ボルタ電池は最初のガルバニ電池であると言われるように、実はイタリアの医師・解剖学者ルイージ・ガルヴァーニの発見に端を発しています。神経に対する電気刺激の研究をしていたガルヴァーニは、ある日、蛙の足の筋肉を異なる2つの金属で挟み、金属同士が接触したとき、足がけいれんする現象を発見しました。彼は動物が体内に「動物電気」を持っているためであると考えました。この研究に興味を持ったボルタは、二つの異なった金属で電解質液(蛙では筋肉)をはさむと電気が発生することを見いだし、銅と亜鉛と希硫酸を使ったボルタ電池を作りました。電気の発生原因に関するガルヴァーニの解釈は間違いでしたが、ガルヴァーニの研究がなければボルタ電池の発明はなかったかもしれません。電圧の単位に名は残りませんでしたが、その功績を称えて化学電池をガルバニ電池と呼び、異種金属の接触で流れる電流をガルバニック電流と呼ぶようになりました。レモンに銅と亜鉛を差し込んでできるレモン電池は、れっきとしたガルバニ電池です。最初の発見を大切にする科学の世界に、皆さんもちょっと触れてみませんか、新しい発見を求めて。

東北大学 多元物質科学研究所 所長 村松 淳司さん

 今年もやってきました、科学の祭典、サイエンスディ。今年の3月から工事が始まった、次世代放射光施設は、科学者の垂涎(すいぜん)の的です。2023年の稼働に向けて、東北大学も深く関わっています。さて、みんなの身の回りには科学がたくさん!先進のハイブリッド自動車、スマートフォンやタブレット端末。いったい、中はどうなっているんだろうね。素朴な疑問、専門的な質問に、答えてくれるのが、サイエンスディです。たくさんのラボ、展示を回って、いっぱい体験して、いっぱい質問してみてください。もっともっと、科学が好きになるでしょう。たくさんの科学を体験できる場、それがサイエンスディです。さあ、楽しみましょう!

国立研究開発法人産業技術総合研究所 東北センター 所長 伊藤 日出男 さん

 第13回となる学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2019の開催おめでとうございます。
 今年は7つあるSI基本単位と呼ばれる単位の決め方のうちすべてが物理の法則によって決められることになった記念の年です。130年間使ってきたキログラム原器という「物」から新たな決め方にするのに産総研のつくばの研究所は世界の研究機関と協力しながら大きな貢献をしました。キログラム原器を使わなくなっても、すぐに普段の生活が変わるわけではありません。しかし、より正確に質量が決められることになったことで、将来はたとえば原子1個を動かして働くようなとても小さな寸法のモーターの実現などなど、世の中を変えるようなすばらしい発明発見につながることが期待されています。
 このサイエンス・デイが東北大はじめ数多くの方々協力を得ながら、子供から大人まで楽しめる科学イベントとして定着して発展してきたことはとてもすばらしいことだと思います。今年の産総研東北センターは一般公開を兼ねて、ロボット、地質、水素燃料電池など、いつもよりも規模を拡大して参加します。サイエンス・デイがこれからもますます仙台・宮城の方々にとって魅力的なイベントになって行きますよう、産総研東北センターも協力していきたいと考えています。

東北大学名誉教授 教授 花輪 公雄 さん

 毎年恒例のイベントとなりましたが,第13回「学都『仙台・宮城』サイエンス・デイ2019」が7月14日(日),東北大学川内北キャンパス講義棟を中心に開催されます.皆さんはもうワクワクして待っておられるのではないでしょうか.今回も高校や中学校の科学クラブ,国や県などの公的研究機関,NPO組織,大学の研究室,そして個人参加の方も含め,多くの団体が体験ブースを設けたり,講座を開いたりしています.扱われるテーマも最先端のサイエンスであったり,身近なサイエンスであったりと様々です.ぜひ,多くのブースを訪問したり,講座を体験したりして下さい.物がどうしてそのようにあるのか,そして,物の動きの仕組みや,その理屈が分かることは私たちとって大きな喜びです.周りがぱっと明るくなったような気もします.サイエンス・デイ2019が,分からなかったことを分かろうとするチャレンジの機会となったら,このイベントは大成功と言えましょう.

宮城大学 理事長・学長 川上 伸昭 さん

 今年もサイエンス・デイの季節がやってきましたね。あなたは科学や技術は専門家のものと思っていませんか。『わたしは,税金をとおして専門家に資金を出し,専門家が発見し発明したものを識って使って楽しく快適な生活を送る消費者の立場にいる。』このような科学技術の専門家とあなたの関係は揺るがないものなのでしょうか。研究現場のデジタル化やインターネットの発達が,あなたも専門家とともに発見や発明に参加する機会を作り出してきています。街角で見かけた虫の画像をスマートフォンで撮ってインターネットを通して送るとそれがビッグデータになって街の生態系を知る新しい発見につながるかもしれません。このような市民が参加する研究の取り組みをシチズンサイエンスといいます。あなたも参加の機会を探してみてはどうでしょう?あなたも発見の喜びを味わえるかもしれません。

東北大学 理学研究科長 寺田 眞浩 さん

 自然はナゾに満ちています。そのナゾを解き明かすのがサイエンスです。ナゾ解きは難しいですが、その一端を解き明かしたときの瞬間-「わかった!」-は心震える感動を覚えます。それはサイエンスが「面白い」や「知りたい」といった純粋な好奇心や探求心に端を発した「知を求める」人の本質から生じているからです。日常のほんの小さな疑問「なんでだろう」が好奇心をくすぐり、たゆまぬ探求心のもとに「自然の理(ことわり)」を明らかにする流れが生まれ、やがて「知の創造」へと体系化されていくのです。皆さんが「なんでだろう」と思うことこそがサイエンスの原点であり、想像力をたくましくしてナゾ解きに挑戦する第一歩になります。そのサイエンスが導く先には「知を求める」人の心を豊かにし、社会を豊かにするきっかけをもたらします。皆さん自身がもつ好奇心や探求心が「サイエンスデイ」に参加することで触発され、身の回りに起こっている不思議を感じ取り興味を持つことで、やがて未来の「知の創造」へとつながることを期待しています。

東北大学 環境科学研究科長 土屋 範芳 さん

 ユーラシア大陸の真ん中にある草原の国に行ってきた.360°地平線.視界を遮るものがない.真っ平らだ!夜になった.星が地平線から上ってくるのがわかる.星の出?天空に輝くあまりの星の多さにかえって星座がつかめない.圧巻の天の川.
 地球の反対側の国に行ってきた.富士山よりも高いところにある大きな湖.空気が薄い.歩くだけで息が上がる.夜空に南十字星が輝いている.巨大星雲,大マゼラン雲も肉眼でしっかりと見える.
 行ってみたいなよその国.見たこともない世界がきっとあるに違いない.好奇心は無限大.サイエンスを楽しもう.

スリーエム仙台市科学館 館長 石井 鉄雄 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2019』の開催、おめでとうございます。2007年に1団体の出展、わずか40人の来場者でスタートしたこの催しは、今では来場者1万人を超える一大イベントに成長しました。「サイエンスデイ」は、多くの来場者にとって、ともすればブラックボックス化しがちな科学の原理や先端技術のしくみを、五感で感じ、学ぶことのできる貴重な機会となっています。
 出展者の中には、かつて来場者としてこの会場を訪れたという方も多いのではないかと思います。科学に関する、このような素敵な循環が、この仙台・宮城の地でこれからも長く続いていくことを深く願っています。私たちスリーエム仙台市科学館は、『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』を心から応援しています。

仙台市天文台 台長 土佐 誠 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2019』の開催おめでとうございます。毎年「夏が来ればサイエンスデイ」、七夕やペルセウス座流星群とともに、サイエンスファンが楽しみにしている夏の風物詩です。「サイエンスの面白さはそのプロセスにあり」それを「五感で楽しむ」というコンセプトに引き付けられます。サイエンスデイの「出品物」には、年々進化するもの、あるいは今までにない新しいものなど、毎年新しい発見があります。今年はどんな「出品物」に出会えるか楽しみです。当日は、夕方、参加者が帰途につかれるころ、東の空に三日後に満月になる月が昇ってきます。ニュートンが「月もリンゴも地球の引力に引かれている」と考え万有引力の法則を発見したとされる天体です。そして、暗くなると、月の右上に木星が明るく輝きます。その周りにガリレオが発見した4個の衛星は、太陽中心説・地動説を強く支持する根拠となりました。これら科学革命に大きな貢献をした二つの天体が登場し、サイエンスデイの夜の部が始まるようです。サイエンスデイの終わりにこのようなリアルな宇宙に触れることも楽しいことだと思います。今年も、多くのサイエンスファンが集い楽しむサイエンスデイの成功をお祈りしています。

東北大学副学長(広報・共同参画担当)・大学院医学系研究科教授 大隅 典子 さん

今年も「サイエンスデイ」がやってくる
子どもも大人も誰もが楽しめる地域密着、体験型・対話型イベントは
7月の宮城・仙台に定着した
15世紀なかばに生まれたレオナルド・ダ・ビンチが残したスケッチの中に
空を飛ぶための装置がある
当時の材料や技術では、人間は空を飛ぶことができなかった
その後、ヘリコプターが実際に作られたのは20世紀になってからだった
まったく別のアイディアとして飛行機も開発された
21世紀になって自在に空を飛ぶドローンが作られると
さらに広い応用範囲があることがわかった
どんな時代でも、人は不思議や疑問や憧れをいだき
その理解や実現に向けて努力する
それは素敵な営みだと思う

公益社団法人応用物理学会東北支部長 藤原 巧 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』の開催、心よりお慶び申し上げます。東北・仙台で、このようなサイエンスの催しが長年にわたり活発に継続していることは、かつてアインシュタインが、「日本国・仙台に学術研究あり…」と述べたことを想起させられ、科学技術の将来や人材育成の面からも大変貴重なことであると思います。natural scienceの皆さまをはじめ、たくさんの方の熱意と尽力にあらためて感謝申し上げます。
 応用物理学会では、サイエンスの基礎をなす物理学を土台として、それを応用し、各種産業をはじめとする人類社会への貢献を目指して活動しています。サイエンスは、今では人々の生活になくてはならないものになりました。それは、エネルギー、環境、バイオ、情報、医療技術など多くの分野において、サイエンスがもたらしてくれた様々な製品や便利なインフラ、そしてさらに進展する未来を我々に与えてくれるからです。でも、このような、いわば物質社会を充足させる効果は、サイエンスの一側面にすぎないのではと思います。サイエンスのもう一つの、そしてかけがえのない恩寵、それは、すべての人の心に語り掛け、好奇心や希望、そして夢を与えてくれる、「心を豊かに」してくれることではないかと思います。いつの時代も、世界中のどこでも、サイエンスはみんなが共有できる貴重な財産です。この機会に、ぜひ、たくさんの皆さまがサイエンスを楽しみ、堪能されることを願っております。

東北大学大学院工学研究科 電子工学専攻 教授 金井 浩 さん

 こんなに科学が発達しても,人間は光合成のできる木の葉を作ることはできません。似たものは出来ても本物とは程遠いです。必要な元素を組み合わせ単細胞生物のゾウリムシを作ることは,想像すら出来ません。20世紀の科学の発展によって確かに豊かな生活ができるようになりましたが,身の回りには,まだ解明されていないことの方が遥かに多いのです。不思議に思う「知的好奇心」を大切にし,自然や社会を相手に不思議を解明する学問が「科学(サイエンス)」です。そこでの発見をもとに,さらに人や社会を豊かにする発明などの学問を「工学(エンジニアリング)」と言います。このサイエンスディのテーマの「心豊かな」というのは,周囲や自然に関心をもち,受け身でなく積極的な気持ちで生きることだと思います。出品される多くは,こうした心豊かな方々の成果です。是非参加される皆さんの知的好奇心もさらに豊かになることを願っています

一般社団法人 東北経済連合会 会長 海輪 誠 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2019』の開催、おめでとうございます。東北経済連合会(以下「東経連」)では、宇宙誕生の謎に探る素粒子物理実験施設「国際リニアコライダー」(以下「ILC」)等、世界最先端の研究開発プロジェクトの実現に取り組んでいます。東経連では、2016年からサイエンス・デイにILCのブースを出展しています。今年もお子様にもILCに親しんで頂けるように、紙芝居や、カルタ、クイズ等を準備してお待ちしています。ILCは、日欧米が中心に検討されている国際共同科学プロジェクトで、その建設候補地が岩手県南部から宮城県北部にかけての北上サイトです。本年3月には日本政府がILC計画への関心を表明し、本年10月末にはリニアコライダー国際会議「LCWS2019」の仙台開催も決定しております。いよいよILCの実現への期待が次第に高まっています。ぜひILCのブースにお立ち寄り頂き、プロジェクトの意義をご理解頂きたく思います。「サイエンス・デイ」が盛会に開催され、子どもたちの科学技術への興味関心を高める機会となることを大いに期待しています。

国立仙台高専 校長・東北大学名誉教授 福村 裕史 さん

 宇宙のかなたのブラックホール周辺の像が得られたことが最近話題になりました。これに関連して、巨大粒子線加速器の中で小さなブラックホールができる可能性が議論されています。注目すべき意見として、「科学者の個人的興味で人類を滅亡させることは止めてほしい」というのがありました。音楽や絵画、文学などと同じように、科学の推進は個人の力量による部分が大きいのですが、科学が物心両面で人々を豊かにしていることが理解されなければ、社会からの支持は得られません。科学者の興味は人類の好奇心を代表するものであること、その成果は広く社会に還元されていることを、科学を担う人々が説明する必要があるでしょう。今年もサイエンスデイへの期待は大きく膨らんでいます。

東北大学 文学研究科長 森本 浩一 さん

 18世紀の哲学者カントは、人間が経験に基づいて語ることのできる事柄の限界を見極めることの重要性を説きました。その後の自然科学の成功は、この「限界をわきまえる」ことが基盤になっています。例えば、神や死後の魂が存在するかどうかといった問いは、宗教的には重要でも、サイエンスの問題ではありえません。観察や実験に基づいて数学の言葉で仮説を立てるだけ、という節度ある姿勢が、確実と信じることのできる知識を増大させてきたわけです。とはいえ、私にとってより印象的なのは、そういう節度を保ちつつも、例えば物理学や脳科学が、そもそもこの世界(宇宙)を作り上げている源は何かとか、心とは何かといった根本的な問いに挑み続けていることです。そこには、自己や世界が現にここに存在するという事実そのものの不思議さに取り憑かれてしまう人間の本性がかいま見えます。そうした点で、人間性の探究をテーマとする人文学(文学部の学問)と自然科学は、根っこのところでは同じ精神を共有していると思います。文学部もサイエンスデイを応援しています。

東北学院大学 工学部長 中沢 正利 さん

 第13回目を迎えるサイエンスデイ2019の開催、おめでとうございます。私の専門は建設系ですので、地震や風や波などの自然の力に対抗するというサイエンスが主な分野です。いま気仙沼では二つ目の橋が話題になっています。国交省東北地整が建設を進めている気仙沼湾を渡る気仙沼湾横断橋は、海上部が3径間連続鋼斜張橋(680m)という構造で、鋼重は12,639トン、主塔高さは100mにもなる人工構造物です。陸上部主塔は3月13日、海上部主塔の下段部分70mまでは5月10日に完了しており、5月15日には残る海上部の主塔上段部分30m(320トン)を3,000トン吊フローティングクレーン船『富士』を用いて吊り上げ、無事に架設が完了しました。この架設時の映像は報道各局のニュースでも流れたと思います。 このように、自然の力と物体の力学原理を理解した上で、100年以上壊れないものを作ることもサイエンスです。大型台風や大地震が来ても簡単には壊れないことを前もって計算と実験で確認しながら設計し、さらに現場までの運搬や架設方法を工夫して最終的な完成を成し遂げています。これらの橋や建築物についても知的好奇心を持っていただけるよう、心より期待しています。

東北工業大学 学長 今野 弘 さん

 科学は技術の源であり、私たちの暮らしや豊かさを支えています。
 科学は、「なぜ?」「こんなはずではない?」 という疑問と、「どうして?」「どうなっているの?」という好奇心からスタートします。「不便だな!」「何とかしたい!」という積極的な姿勢と探求心が科学を呼び覚まし、技術を磨きます。 「サイエンスデイ」で多くのモノや科学する人に触れて、おもしろさや楽しさが強く印象に残る一日となれば、これからのあなたが、多くのひとの未来と、豊かな社会に貢献する人になると信じています。それが科学の力なのです。
 「サイエンスデイ」に関わる全ての人に感謝し、応援します。

東北生活文化大学学長 佐藤 一郎 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2019』が開催されますこと,心よりお祝い申し上げます。
 今春から、三島学園の東北生活文化大学、同短期大学部の学長になりました。画家として活動してきたので、サイエンスは関係ないと思うかもしれませんが、絵画を対象とした自然科学的調査法にも長年取り組んできました。目で直接見ることができない絵画の内部構造や、そこに使用されている絵具の元素分析をするために、高精細デジタル画像によるX線、紫外線、赤外線などによる光学的調査を行ってきました。ルーヴル美術館では、このような自然科学的調査法の進展を取り入れた、レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年記念の大回顧展が今秋から新春にかけて、開催されます。
 また、仙台では、きっと、「科学者」としてのレオナルド・ダ・ヴィンチをテーマにしたプログラムとめぐりあえるのではないかと期待しています。

東北大学名誉教授、仙台高専名誉教授 内田 龍男 さん

 私たちの身の回りには、当たり前と思っていたことでもよく考えると不思議なことが沢山あります。その理由がわかったとき、自然は何と面白いんだろうと感動すると思います。これがサイエンスの原点です。このようなサイエンスの知識が基礎となっていろいろな技術や製品が生まれ、人々の生活を楽にしてくれたものが沢山あります。例えば昔の母親の家事は大変で、寝る時間も十分取れないほどでしたが、洗濯機、掃除機、冷蔵庫、電子レンジなどによって大きく変わりました。
 一方、これから期待されるものはまだまだ沢山あります。身近な生活支援機器はもちろんですが、大きなものとしてはものづくりの自動化、食料やエネルギーの生産技術、健康や医療技術、そしてこれら全体にもかかわる情報システムや輸送システムなどです。そして、それらのもとを築くのがサイエンスと思います。 こんなことを考えると、若い人から大人まで、それとなくサイエンスに興味を持って、それがいつの間にか人々に役立つことにつながっていくと考えると、その基を築くこのサイエンスデーは大変有意義なものと思います。是非、展示・説明する方々も、それを見てサイエンスの面白さに感動する方々も、共に楽しみながらこのサイエンスデーを盛り上げてゆきましょう。

株式会社 メムス・コア CTO 江刺 正喜 さん

 私の趣味は科学・技術関係の博物館を見てまわることで、自分でも東北大学 西澤潤一記念研究開発センターに「近代技術史博物館」をはじめとする展示室を設置して実際に見て頂けるようにしています。学都「仙台・宮城」サイエンスデイには、毎年いろいろな分野の多くのグループが出展し、子供さんを連れた家族などで大変にぎわっていますが、私もいつも楽しく拝見させて頂いております。我々は科学技術の恩恵を受けておりますが、ブラックボックスではなくて、それをできるだけ理解しながら利用していくことが大切だと思っています。もちろん利用するだけでなく、環境問題など直面している課題を解決しながらそれを正しく発展させていくためにも、幅広く・できるだけ深く理解することが大切です。このためにサイエンスデイは良い機会を提供してくれます。いろいろな展示や講座で、実際に体験したり専門家に話を聞かせて頂いたりすることを通して、私たちは視野を広め社会に役立つようになれます。

東北大学理事・副学長 早坂 忠裕 さん

 宮城県出身の彫刻家、佐藤忠良が書いた「美術を学ぶ人へ」という文章があります。その中に、次のようなことが書いてあります。科学をもとに発達した科学技術は私たちの日常生活の環境を変えていきます。一方、芸術は科学技術とちがって環境を変えることはできませんが、環境に対する心を変えることはできます。現在、科学が何の役に立つのかということが盛んに問われていますが、天文学や素粒子物理学など、いわゆる基礎科学は何の役に立つのかすぐには分かりません。でも、これらの新しい知識を得ることによって、芸術と同じように環境や自然に対する私たちの心、感じ方が変わるのではないでしょうか。そのことは私たちの人生や人間社会に大きな影響を及ぼし、後になって振り返ってみればとても役に立っていると言えるでしょう。科学に興味を持ち、学習や研究を通じて新しい世界を知ることはとても大切なことだと思います。

東北大学 医工学研究科長 厨川 常元 さん

 「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」これは「2001年宇宙の旅」などを書いた有名なSF作家アーサー・C・クラークの言葉とされています。科学技術は魔法ではありません。同様に自然界の現象も魔法ではありません。自然現象の不思議さに驚き感動する気持ちは大切ですが、それで終わっては魔法に対する態度と変わりがありません。サイエンス・デイは、驚きや感動を入口とし、その現象の不思議さの仕組みを解明する道に人を誘う取組みであると思います。社会の諸問題を解決するにはこの道を歩み、魔法ではなく、仕組みの分かった技術を、適切な方法で用いるしかありません。医工学研究科は、病気を治したり、身体の回復を促進したり、あるいは介護の負担を軽くしたりするために、困っている人たちのいる現場のニーズを集め、社会に役立つアイディアにし、それを数学・物理・化学の力で実現可能な技術として具現化することに取組んでいます。サイエンス・デイの会場にはこの探求活動を推進するエンジンとなる好奇心が溢れていると感じます。

公益社団法人日本金属学会東北支部長 今野 豊彦さん

 高層ビルや橋梁といった巨大建築物や航空機・鉄道などの輸送機器まで、私たちの便利さを支え、安全安心を守ってくれているのが鉄鋼やアルミニウムなどをはじめとする金属材料です。またコンピュータやスマートフォンの中は、強力な磁石があって初めて実現するモータ、膨大なデータを蓄積するためのハードドライブの記録媒体として用いられる磁性金属などなど、IOT社会を支えているのも金属や半導体からなる材料です。すなわち、21世紀に生きる私たちの科学文明の基幹となっているのは、地球上の様々な元素からなる物質を、人間社会に役にたつ材料として育て利用する技術に他なりません。私たち金属学会の使命はまさにこの点にあり、材料科学の立場から社会を牽引しています。今回の「サイエンスディ」を通して、普段は気にとめることもない「材料の使命」に触れていただき、「科学と技術」が社会に対してもつ役割と責任を感じていただければ幸いです。

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