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サイエンスデイ2023

開催趣旨

 近年、我が国の科学技術研究および産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」の基盤を揺るがす深刻な問題として、子どもたちの「理科離れ」が叫ばれています。「理科離れ」は単に「個人的に理科が嫌い」という問題ではなく、理科を学ぶ過程で本来養われるはずの「知的好奇心」や「論理的思考力」等の低下を意味しています。その結果として、文理問わず高等教育を理解できない学生が増大し、大学教育の質の維持が著しく困難に陥っているというかたちで問題は顕在化しており、もはや「理科離れ」問題は、国民全体による知の問題、すなわち社会的リスクであると捉えられています。

 これらの社会的背景に、社会の細分化・複雑化に伴い、個々は専門家に任せ、表面だけを利用するブラックボックス化が進んだことがあります。その結果、わたしたちは効率性と引き換えに、本来そこにあるはずの自己と対象との関係性を実感することが困難な状況に陥っています。しかしながら本来、自己と対象との関係性の集積が、すなわち社会です。この自己と対象との関係性が見えない危機こそが、個人・地域社会・国レベルでの問題の本質的な原因とnatural science では捉え、そこから解決策を見出していきます。

 自己と対象との関係性を実感しやすい範囲として、natural science は社会の中でも特に“地域” に着目します。自分が社会に与えている影響と自分が社会から受けている影響を実感できることで、人は自らの社会的存在意義を自覚し、主体的に活動することができます。このようなひとり一人の内発的モチベーションによる主体的なアクティビティーが、地域をつくり、そして社会全体をつくるドライビングフォースとなります。つまり“地域” こそが、社会をつくる基盤であると同時に、社会全体をつくる原動力として、大きな可能性を秘めているのです。

 そもそも「科学」の本質は観察からはじまります。対象に直接触れ、自分の目で見て、自己と対象との関係性を五感で感じることなしに、知的好奇心・論理的思考力が養われることはありません。「科学」と言うと「科学は専門家だけが知っていればいい」と自己と科学との関係性を認識しようとしない風潮や、または成果ばかりが注目されがちですが、そこに至るまでのプロセスにこそ、知的好奇心や論理的思考力をはじめとする、科学的なものの見方・考え方、すなわち自己と対象との関係性を構築する姿勢が隠されています。

 natural science では、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、「科学」を切り口に、自己と対象との関係性の可視化・再構築の場として機能することを「科学で地域づくり」と位置づけ、日々の科学教育プログラムの開発・実施のほか、大学・研究機関や企業、行政・教育機関等と連携し、2007 年から毎年、体験型科学イベント『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を開催しています。『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「“科学” って、そもそもなんだろう?」をテーマに、製品や成果等の“結果” だけでなく、科学や技術の“プロセス” を五感で感じられる場づくりを通じて、子どもから大人まで、各人各様の感じ方から自己と対象との関係性を可視化・再構築する場として機能することを目指すものです。

 そもそも人間は生まれながらにして知ることを欲する存在です。そして生まれた創造物が共有されることは喜びです。この認識に立つ時、科学は人の本性に根ざすものとなり万人のものとなるでしょう。こうした共感の輪を生み出す循環こそが、人間の本来持つ内発的モチベーションがさらに発揮され、次、その次に登場する科学や技術が継続的に生み出され、わたしたちの心豊かな社会が達成されていく土壌となるはずです。

 環境変化に適応することで得られた知見やノウハウ、多様性がさらなる発展の原動力となり、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造に資することを願って、17 回目を迎える今年度の『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を4 年ぶりに通常開催いたします。皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。

特定非営利活動法人 natural science
大草 芳江


企画概要

科学のプロセスを子どもから大人まで五感で感じる日

五色のサイエンスの文字は、「五感で感じること」と「科学の多面性」を表しています。また黒箱は、「ブラックボックスを開けること」と「多様な主体が一堂に集う場」を表しています。

 社会の成熟化に伴い、科学や技術はブラックボックス化し、わたしたちは便利さと引き換えに、科学や技術の“プロセス”を五感で感じる機会を失ってきました。しかしながら、科学や技術のもたらす“結果”のみを一方的に享受するだけの姿勢では、科学離れや科学リテラシー不足などの社会的リスクを回避することはできません。

 一方で、ここ仙台・宮城は、「科学」という切り口で見ると、大学・研究機関、民間企業や行政・教育機関等が密集し、研究者や技術者等が日々研究・開発等の活動を行い、わたしたち市民の生活と科学・技術が隣り合わせで存在する、古くから「学都」と呼ばれる地域です。

 この地域の特性を活かし、「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、大人も子どもも、普段科学に触れている人も触れていない人も、科学や技術の背景にある“人”や“プロセス”を自らの五感で感じられる場として、『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を毎年開催します。

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、「科学」を切り口に地域を再発見し、関係性再構築の場として機能することで、知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造に資することを目指します。

ステップと期待する効果

ステップ① 科学の"プロセス"を体験

 各出展団体の現場の"人"が「おもしろい」と思う"プロセス"を形にした体験型プログラムを通じて、普段なかなか実感できない"プロセス"を体感することで、子どもから大人まで各人各様の感じ方から自然な形で興味・関心が喚起される。

ステップ② 研究者や技術者等の現場の"人"との対話

 喚起された興味・関心は各人 各様であり、それぞれの人が「知りたい」と思うところから、研究者や技術者等の現場の“人” との対話を通じて、各自が興味・関心を深めることができる。

ステップ③ 生活の中で関連事項と遭遇

 本企画は地域資源で構成されているため、本企画終了後も、市民が普段の生活の中で関連事項と遭遇する機会は多い。これまで何気なく利用していた製品や成果等の"結果"を見ても、本企画をきっかけに"プロセス"があることを想像でき、興味・関心が継続し、身近に感じられる効果が期待される。

ステップ④ 年間を通じた科学イベントへの参加

 本企画の"見本市"的な特徴を活かし、「学都仙台・宮城サイエンスコミュニティ」会員登録により、各出展団体が開催する一般むけ科学イベント(一般公開や市民むけ講座など)情報を市民へ直接的・継続的に配信できるシステムをつくることで、年間を通じて市民が科学に触れられる機会を増やす。

ステップ⑤ 毎年恒例イベントとして参加

 毎年開催により認知度は高まりつつあるが、今後も地道に連携機関を増やし、地域の毎年恒例イベントとして定着化を図ることで、科学・技術に興味・関心のある人から、普段は科学イベントにあまり参加しない人まで、幅広い層が科学・技術を楽しむことができる場を地域に創出していく。

ステップ⑥ お互いに応援し合うコミュニティへ

 各主体の取組みについて、各主体や市民がお互いに応援し合ったり、表彰し合えるしくみ(サイエンスデイAWARD等)をつくることで、相互理解を深めながら誰もが主体的に科学に参加できる持続可能な『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の構築を目指していく。

ステップ⑦ 科学と社会をつなぐ優れた方法論を共有

 サイエンス・デイ オブ ザ イヤーの審査を通じて、科学と社会をつなぐ優れた方法論を発見し、地域で共有化するしくみをつくることで、次なる創造へとつなげていく。

今年のポイント・注意点

2023-01

 おかげさまで今年で17 回目を迎える『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は4 年ぶりの通常開催が決定いたしました(※)。リアル会場での開催がメインとなりますが、出展者のご希望によりオンラインあるいはリアルとオンラインのハイブリッド出展も可能です。
※ 新型コロナウイルス感染症予防対策内容は、会場提供元である東北大学(共催)の規定に基づきます(4 月1 日現在、通常開催可)。
● オンラインやハイブリッドでの出展を希望する方は、出展申込書の備考欄にその旨をご記入ください。
● Zoom やYouTube 等のアカウントは出展者で準備し、参加者が当日アクセスするためのURL を事務局まで事前にご連絡ください。
 (配信プラットフォームの種類や配信方法等の指定はありません)
● 公開用データ制作時には、著作権、肖像権を遵守し、来場者の個人情報、プライバシー及び肖像権等の保護に十分留意してください。

● サイエンス・デイのチラシ裏面に、科学イベント情報を掲載できます
 (県内の全公立小中学校並びに出展高校等に約23万部を学校配布予定) 

 今年下半期に開催される科学イベント情報を一元的にまとめた『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ~科学イベント編~』を、今年度もサイエンス・デイのチラシ裏面(県内の全公立小・中学校及び出展高校等に全児童・生徒分の約23万部を6月下旬~配布予定)を活用して作成し、学校配布します。科学イベント情報掲載ご希望の方は、natural science までご連絡ください。

● 科学イベント情報告知・申込・受付自動化システムを利用できます
 (学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ会員:約2万5千人) 

 『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』の個人会員(約2万5千人) むけに、各団体が年間を通じて開催している科学イベント情報を告知し、 申込・受付を自動化できるWebシステムを利用できます(無料)。 ご希望の方は、本コミュニティのWebサイトからお申し込みください。



● 「光」ゾーンを新たに設けて“光”に関するミニブース出展を募集し、光の波長ごとに並べる今年初の試み

 サイエンス・デイでは、「科学・技術の地産地消」と銘打ち、地域の多様な科学のプロセスを可視化・共有化できる場づくりの一環として、非専門家でも科学・技術を俯瞰しより深く理解できる方法論の開発・実践に取り組んでいます。2014年度からは、“光(電磁波)”を切り口に、地域の科学・技術を可視化する『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を毎年作成し、サイエンス・デイ来場者並びに関係各位からご好評いただいております。さらにサイエンス・デイ2018では新たな試みとして、より深い理解へと導く場づくりを目指し、『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を実際に五感で体験できる“リアル版”として、“光”に関するミニ出展ブースを募集します。光速(c)にかけて会場の講義棟C棟1階(来場者数が最も多いエリア)に“光”ゾーンを新設し、電磁波の波長ごとに光に関する展示品を並べる予定です。来場者は『学都「仙台・宮城」サイエンスマップ光編』を片手に、“光”ゾーンをまわることで、より理解を深めていただくという趣向です。なお、本企画については、一部屋になるべく多くの“光”に関する展示品を並べることで俯瞰した理解をねらいとするため、1出展あたりの展示スペースは机1、2個程と小さく、説明人員も必須ではありません。通常出展とリンクしたW出展もより深い理解につながるため歓迎します。光に関わる研究・開発をされている方はぜひお申込みください。


科学・技術を社会・一般に伝える優れた方法論を審査・表彰により可視化・共有化することを目的として、「サイエンス・デイ オブ ザ イヤー」を2016 年度から実施しています。自己推薦制のため、出展申込書とは別に、所定の自己推薦書を7 月7 日(金)までに提出してください(提出先:info@natural-science.or.jp)

開催概要

名  称
①学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2023(第17回)
②サイエンスデイAWARD2023表彰式
③サイエンス・デイ オブ ザ イヤー2023 表彰式
日  時
①2023年7月16日(日) 9:00~16:00 ※2023年7月15日(土)会場設営準備
②2023年7月24日(月)14:00~17:00予定(創設された賞数により決定)
③2023年8月21日(月)15:00~16:30
会  場
①東北大学 川内北キャンパス 講義棟( 仙台市青葉区川内41)等
②東北大学 青葉山キャンパス サイエンスキャンパスホール(仙台市青葉区荒巻青葉6-6)
③東北大学 片平キャンパス「 知の館」(仙台市青葉区片平2-1-1)
主  催
特定非営利活動法人 natural science (2007年6月設立)
共  催
東北大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所 東北センター、東北大学多元物質科学研究所、仙台市教育委員会、東北工業大学、 仙台高等専門学校、公益社団法人応用物理学会東北支部、一般社団法人日本物理学会東北支部、一般社団法人電子情報通信学会東北支部、公益社団法人日本金属学会東北支部、公益社団法人日本分光学会東北支部、東北大学知の創出センター、東北大学工学研究科・工学部創造工学センター
協  賛
株式会社ユーメディア、一般財団法人みやぎ産業科学振興基金、DIC株式会社、東北学院大学産学連携推進センター、宮城大学
後  援
文部科学省、内閣府知的財産戦略推進事務局、宮城県、仙台市、宮城県教育委員会、東北経済産業局、国立研究開発法人科学技術振興機構、 一般社団法人東北経済連合会、東北工学教育協会、仙台管区気象台、国立研究開発法人理化学研究所、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、学都仙台コンソーシアム、 東北学院大学、東北生活文化大学、東北医科薬科大学、公益財団法人東北活性化研究センター、一般社団法人みやぎ工業会、宮城県中小企業団体中央会、公益財団法人みやぎ産業振興機構、一般社団法人宮城県発明協会、仙台商工会議所、仙台経済同友会、一般社団法人情報処理学会東北支部、一般社団法人日本機械学会東北支部、公益社団法人日本化学会東北支部、一般社団法人映像情報メディア学会東北支部 、一般社団法人日本光学会、一般社団法人電気学会東北支部、公益社団法人日本天文学会、公益社団法人土木学会東北支部、一般社団法人日本建築学会東北支部、公益社団法人日本建築家協会東北支部、公益社団法人 空気調和・衛生工学会東北支部、公益社団法人日本水産学会東北支部、公益社団法人 計測自動制御学会東北支部、日刊工業新聞社東北・北海道総局、読売新聞東北総局、毎日新聞仙台支局、朝日新聞仙台総局、河北新報社、TBC東北放送、仙台放送、KHB東日本放送、NHK仙台放送局、ミヤギテレビ、エフエム仙台
入 場 料
無料
来場対象
こどもからおとなまでどなたでも
来場見込
約10,000人(2019年度実績:10,658人)
出展費用
無料(ただし出展に関わるその他の費用はご負担下さい)
※ 手弁当モデルによる自立運営のため運営協力へのご協力をお願いします(「運営協力(協賛)のお願い」)
出展募集
リアル会場での出展(講座プログラム型、体験ブース型)のほか、オンライン出展やハイブリッド出展も可能です
お問合せ
特定非営利活動法人 natural science 事務局 大草芳江
〒980-0023 仙台市青葉区北目町4-7 HSGビル7階
Tel.022-721-2035
URL http://www.natural-science.or.jp/
お問合せフォームはこちら

応援メッセージ

掲載順序は到着順です

宮城県知事 村井 嘉浩 さん

 第17回『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』が開催されますこと、心からお祝い申し上げます。
科学技術の進歩により、人々の暮らしは日々便利になっていますが、私たちは、当たり前のものとして、その仕組みを十分に理解せずに利用してしまいがちです。こうした中『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』は、大学・研究機関、関連企業の皆様の連携、協力の下、子どもから大人までが、科学のプロセスを楽しみながら五感で体験できるイベントとして定着しています。 
 このイベントに多くの企業や県民の皆様が参加され、科学技術への理解を深められるとともに、宮城、東北を元気にするイベントになることを心から期待します。

仙台市長 郡 和子 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』の開催に当たり、心よりお喜び申し上げます。4年ぶりの通常開催とのことで、この日を楽しみにしていた方も多くいらっしゃると思います。
 このサイエンスデイは、「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、科学の魅力や営みを五感で感じ取る工夫が随所に凝らされています。本イベントが、人々の知的好奇心を刺激し、科学技術への興味を呼び覚ますきっかけをもたらしてくれることは大変喜ばしく、まさに学都仙台で開催されるにふさわしいイベントであると考えております。この度の開催にご尽力いただいた大学・研究機関や企業の皆様に、深く感謝申し上げます。
 本市では、情報活用能力の育成やプログラミング教育など、ICTを活用した学校教育を推進していることに加えて、青葉山に現在整備中の次世代放射光施設「Nano Terasu(ナノテラス)」の運用開始が来年度に迫っていることもあり、子供から大人まで、皆様の科学技術への関心がより一層高まっている一年であると思います。
 本イベントをきっかけに、科学技術に興味を持つ方が増え、今後の学都仙台を担う人材が育っていくことを期待しております。

東北大学総長 大野 英男 さん

 本年も東北大学川内キャンパスを会場に『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』が開催されますことを大変うれしく思います。
 今年で17回目を迎えるサイエンス・デイは、「学都・仙台」を象徴する夏のイベントとして定着し、毎年多くの皆さまにご参加いただいています。
今回も地域の大学、研究機関、企業のご協力の下、科学の楽しさ、面白さを体験し、さまざまな技術に触れることで、知的好奇心を高め、科学に親しんでいただけるプログラムが多数用意されています。
 東北大学は日本を代表する総合研究大学として、科学の力で豊かな未来社会を実現するため、教員、研究者、学生が日々新たな挑戦を続けています。今回も本学の研究の一端をご紹介しておりますので、是非会場に足を運んでいただければ幸いです。
 本イベントを通して、多くの皆さまにとって「科学」がより身近なものとなり、科学への興味・関心を一層深めていただくことを願っています。

文部科学省大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当) 清浦 隆 さん

 東北地方の一大科学体験イベントである、『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』が開催されますこと、心からお祝い申し上げます。本イベントは科学の"プロセス"を子供から大人まで五感で感じる日として、大変人気のあるイベントであり、長年、我が国の科学技術の理解増進に大きく貢献頂いているイベントと認識しております。今年も現地開催と伺い、大変嬉しく思います。
 STEAM教育など問題発見・課題解決的な学びの充実へ向け、様々な機関が連携して身近な場所にサイエンスに触れられる機会を増やしていくことが重要です。本イベントにより、子供から大人まで、サイエンスの楽しさやその可能性を感じながら、サイエンスを好きになるきっかけにつながることを期待しております。

国立研究開発法人産業技術総合研究所 東北センター 所長 蛯名 武雄 さん

 サイエンス・デイに参加するあなたは、今日多くの実験を見るでしょう。それはあなたが予想した結果になるでしょうか?それとも意外な結果になるでしょうか?発表をする方が、あなたに驚いてほしくて、意外な結果になるように実験を準備しているかも知れませんね。ただ、狙った通りにならないかも・・・。実験の結果が昨日と今日で違っていると困りますよね。あなたと友達が同じ実験で全く違う結果になると、なぜだろう?ということになります。どういう範囲では同じ結果になるか、わかっておくことが大切です。同じ結果にならないときは、何かがその範囲を超えているのかも知れません。私たちはそこに一定の規則を見つけたいとも思います。実験のやりかたと結果を結びつけるルールが見つかり、そのルールが多くのことを説明できて、さらにこれから起こることを予測できたとすれば素晴らしいと思いませんか?これらが満たされることで「科学」として評価されることになります。実験は常に新しい発見の可能性を秘めています。あなたは今日、自分にとって新しいルールを学ぶかも知れません。またあなたは誰も気づいていない新しいルールに気づくかもしれません。さあ!実験は予想した結果になるでしょうか・・・。

株式会社 メムス・コア CTO 江刺 正喜 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』がWith Coronaで本格的なリアル開催になり良かったと思います。この会は地域の各種団体が工夫する出展に多くの家族が集い、体験を通し身近に科学を感じられる貴重な場になっております。自分の賞を作って表彰する「サイエンスデイAWARD」で互いに褒め称え合うというユニークな制度もあります。新しい発展に寄与するには、関連する知識の深さや幅が広いだけでなく、歴史的な流れや自身の体験なども重要だと思っています。このため仙台市の青葉台にある「西澤潤一記念研究センター」には「近代技術史博物館」などの展示室がいくつか設置されており、いつでも公開しておりますので是非ともお越しください。なおこのセンターに設置されている「試作コインランドリ」や「プロトタイプラボ」はデバイス試作やモノづくりに利用して頂けます。

東北工業大学 学長 渡邉 浩文 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』がコロナ禍以前の形式にて通常開催されますことを、大変嬉しく、心よりお祝い申し上げます。
 この催事が願う「科学のプロセスを子どもから大人まで五感で感じる日」は、対面の通常開催でこそ達成できることだと思います。科学、特に実験は、実際に物や装置に触ったり、匂いを感じたり、空気の揺れを感じたり、その感覚にまず魅了されるところから始まるのだと思います。
 是非、多くの子どもたち、そして大人たちに、科学のワクワクを体験していただきたいと思います。

国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター 企画運営室 室長 平尾 孝憲 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』の開催に当たり心よりお祝い申し上げます。
 科学技術振興機構(JST)は、国の科学技術・イノベーション基本計画の中核的な役割を担う機関として、研究開発の推進や科学技術の振興に取り組み、社会問題の解決や、新たな科学技術の社会実装で生じる諸課題への対応を通じ新しい価値創出も目指しています。また、次世代が広く科学技術に触れる機会も提供しています。
 あらゆる社会問題は科学技術だけでは解決できません。科学技術の面白さや重要性を理解した上で、さまざまな角度から「なぜ?」を考えることは、より良い未来を創るために欠かせないと思います。
 サイエンスデイは、各機関による連携のもと、子どもから大人まで、科学のプロセスを楽しみながら五感で体験できるイベントとして、その役割を果たしていると感じます。参加する全ての方々が、科学技術への理解を深め、いきいきと未来を語れるような場となることを願っています。

東北大学 多元物質科学研究所 所長 寺内 正己 さん

 さあ、みんなのサイエンスディがやってきました。コロナを経験し、普通の生活の大切さ、皆と集まり色々と話ができることのすばらしさを実感したと思います。生活の中にある不思議を解き明かすのがサイエンスです。人それぞれが、身の回りにある不思議に気付くことがサイエンスの入口です。是非、たくさんの不思議を見つけて(発見して)ください。サイエンスデイに参加した子供たちが、自分の「不思議」を見つけて目を輝かせ夢中になっている、そんなサイエンスデイであることを期待します。

公益社団法人応用物理学会東北支部長 百生 敦 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』が、待ちに待っていよいよ通常開催されますこと、心よりお喜び申し上げます。我々応用物理学会では、物理を社会に役立てるために様々な分野の研究者が熱心に交流を重ねています。『物の理(ことわり)』(物理)を深く追求しながらも、社会との関りを大切にします。人々と対面で交流できることは、応用物理学にとってもかけがえのないことですので、このイベントを大いに応援しています。サイエンスデイに参加される方々には、様々な企画に直接参加し、「なぜ?・どうして?」を感じる交流をたくさん重ねていただけると思います。科学のおもしさに触れ、不思議や不便を楽しみ、さらには、工夫によって課題を解決する醍醐味を知ってほしいと願っています。

国立仙台高等専門学校 校長 澤田 惠介 さん

 サイエンスデイ2023の開催おめでとうございます。今年度は以前の賑わいを取り戻し、さらに素晴らしい催しになると大いに期待しています。これまでサイエンスデイに参加されたことのある皆さんは、前回興味を持った内容とは異なる展示にご注目ください。きっとサイエンスの新たな魅力を発見されると思います。また、サイエンスデイに参加されたことのない皆さんは、ちょうど動物園に遊びに行くようにお出かけください。動物園には猛獣もいればかわいい小動物もいるように、なかなか難解な内容からすごく見た目にかわいい身近な内容まで実に幅広く展示されています。動物園は動物のことを知らなくても眺めているだけで楽しい時間を過ごすことができます。サイエンスデイも展示を眺めているだけで科学の魅力に惹かれることでしょう。難しい理屈は後回しにして、先ずは若い世代の皆さんにサイエンスの魅力に触れていただきたいと願っています。

東北生活文化大学 学長・東京藝術大学名誉教授 佐藤 一郎 さん

 レオナルド・ダ・ヴィンチは、「絵画は、科学(サイエンス)である。」と述べ、「……、わたしは、あらゆる確実さの母である経験から生まれ、明らかな経験で終わらないような科学、つまり、始めか、中間か、終わりかが、五感のいずれかを通過しないような科学は、空虚で誤りに満ちているように思われる。……」と続けています。このような人間の感覚を通した体験にねざす科学の本質は、『サイエンスデイ2023』に集う、小学生、中学生、高校生のみなさんにこそ宿っているように見えました。  絵画は、目という感覚器官を通して見た三次元、および時間をも含めた時空間の世界を、二次元の平面に表現することです。それには、光の存在によって、ありとあらゆる色彩をともなった対象物を感知することが前提になっています。この場合、光とは、赤、橙、黄、緑、青、紫といった色光の集合体である可視光線(白色光線)です。現代では、赤外線、紫外線、X線などの電磁波を使って、絵画の自然科学的調査が行われています。どのような絵画材料と絵画技術で描かれているのか、500年前のレオナルド・ダ・ヴィンチにおいても、かなり詳細に解説できるようになってきました。絵画を対象として、自然科学的調査研究する若い人材が育つことを期待しております。

日本物理学会東北支部長 木村 憲彰 さん

 『学都「宮城・仙台」サイエンス・デイ 2023』の開催おめでとうございます。小・中・高校時代、理科の実験があるとわくわくした気持ちになったものでした。いつもの授業と違う非日常的な雰囲気があったせいかもしれませんが、実際に見たり、自分の手でやってみたりと、受け身ではなく自分で何かをすることが何よりも楽しかったのだと思います。また、音がしたり、色が変わったり、動いたりと、五感が刺激されるのも楽しいと感じる要素になっていたと思います。今年のサイエンス・デイも、見て面白いものから来場者の方々が参加できる企画などがたくさんあると思います。本年は4年ぶりの通常開催とのことなので、各所でこのような楽しい気持ちが満ち溢れることでしょう。出展する皆さんは発表に向けて、また来場者の皆さんも実際に会場に足を運んでいただき、サイエンスを体感してみてください。

東北大学金属材料研究所所長 佐々木 孝彦 さん

 「学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023」が,4年ぶりの通常開催となり私自身も参加者の一人として多くの出展者・団体の方とのやり取りが現地で直接にできることを楽しみにしています.参加者と出展者の双方が,手を動かして「もの」をつくり,現象を「観察」し,結果を「思考」「議論」して「知識」を集積することで,サイエンスデイがテーマパーク的な一時的な楽しさや面白さを提供するだけではなく,個人個人の人生やその共同体としての社会を豊かにするきっかけとなる地域イベントに成長していくことを応援していきたいと思います.そして,参加者が次の出展者となり,サイエンスを伝える企画と表現の難しさと楽しさの両方を知る経験を重ねて,さらに新たな参加者が集まるという進化の連鎖が仙台から生まれ,宮城・東北から世界へと広がることに期待しています.

東北大学理事・副学長(研究担当)・知の創出センター長 小谷 元子 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』の開催に当たり、心よりお祝い申し上げます。私たちの身の回りには生活を便利にする機器であふれています。パソコン、スマートフォン、タブレット等の普及により世界中から様々な情報を瞬時に得られる時代になりました。情報を簡単に得られるようになった反面、「なぜ?」と考えることが少なくなったように思われます。サイエンス・デイは、この「なぜ?」をとことん追求しながら、科学のプロセスを体験できる非常に貴重なイベントです。大人から子どもまで多くの方が科学技術に触れ、興味をもっていただけるのではないのでしょうか。これからの社会はAI(人工知能)が一層普及するといわれています。昨今、ChatGPTなどの高度なAIが様々な分野から注目を浴びています。AIやその裏にあるサイエンスを理解することで、人間の知的活動はさらに広がります。サイエンス・デイを通して、人間の知性の偉大さ、素晴らしさに気づき、知的好奇心が大いに刺激されることを期待しております。

東北大学名誉教授・仙台高等専門学校名誉教授 内田 龍男 さん

 ここ仙台・宮城の地は、古くから「学都」として知られる学問の盛んな地域です。それに関連する大学を始めとしたさまざまな機関がたくさんありますが、これらの多くの機関と連携して、NPO法人natural scienceが学都「仙台・宮城」サイエンス・デイを2007年に立ち上げられました。その後毎年の開催で年を経るごとに出展者も参加者も増加の一途をたどり、毎年の一大定例行事となりました。ただ、数年前に新型コロナウイルスで中止されたり完全オンライン開催になったりで大変でしたが、昨年から対面開催が再開され始めました。
 若い人から大人まで幅広い年齢層にわたる人々がサイエンスを理解し、親しみを持っていただきながら、我が国の将来を担う人材を地域全体で育成していく文化をつくりあげていくことは、大変意義深いことだと思います。
 是非、展示・説明する方々も、それを見てサイエンスの面白さに感動する方々も、共に楽しみながらこのサイエンスデイを盛り上げてゆきましょう。

東北大学 副学長(社会連携・研究評価担当)・未来社会技術共同研究センター長 長坂 徹也 さん

 「継続は力」という言葉があります。『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』のこれまでの活動歴を振り返ってみると、まさに「継続は偉大なる力」と思わざるを得ません。コロナ禍でのブランクがあったとはいえ、17回目を数える地道な活動は、既にこの継続の力を世の中に発揮しているかもしれませんが、これから開催回数を重ねることによって、「継続」の持つ力がどんなに素晴らしいものかを、更に具体的に示していくことと思います。サイエンス・デイのような基礎科学の啓発活動による果実は、将来の卓越した科学者、研究者、技術者、起業家の卵等の若い人財のみならず、将来大化けする可能性がある新しい価値のエンブリオ、そしてそれにつながる創造的模倣の契機等でしょう。これらは世界を先導する教育研究機関を目指す大学にとっても必要な果実になるはずです。我々も今まで以上にしっかりご支援、ご協力出来ればと存じます。

東北大学未踏スケールデータアナリティクスセンター長 中尾 光之 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスディ2023』の開催おめでとうございます。いま、生成系のAI登場を受けて益々巷ではAIの話題でもちきりです。 AIに関する輝かしい未来やリスクが語られるとき、科学する知性とAIの知性はどう違うのかを問い、考え続けることこそが重要です。 両方の知性の差異を利用し創造性を紡ぎだすことがきっとこれからの知を形作るはずです。サイエンスディが、そんな新たな知の萌芽を感じ取れる場になることを願っています。

東北大学 環境科学研究科長 川田 達也 さん

 サイエンスデイ2023の開催おめでとうございます。今年も、小さな不思議や驚きに出会えることを楽しみにしています。今、世の中は、カーボンニュートラルに向けて大きく動き始めています。その実現への道は、様々な低炭素化技術を組み合わせて、コスト、環境影響、社会受容性などを同時に成り立たせようとする複雑なジグゾーパズルのようです。そのピースとなる技術の開発現場では、多くの技術者が、見つけた技術の芽を育て、多くの人に使ってもらえるようにと、日夜努力を続けています。サイエンスデイの展示を見ていると、身の回りで見つけたサイエンスの面白さや感動を多くの人と分かち合いたいと、様々に工夫を凝らし、小さな開発を重ねた様子が思い浮かび、それは技術者の姿とも重なります。今年は、サイエンスそのものはもちろん、それを世の中に届けるテクノロジーにも注目して、持続可能な将来を想像しながら楽しみたいと思います。

仙台市天文台 名誉台長 土佐 誠 さん

 第17回『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』の開催おめでとうございます。ここ数年、新型コロナウイルスによって活動が制限されてきましたが、今回は通常の開催ということで大変嬉しく思います。様々なサイエンス活動に触れ、サイエンスを愛する人々と交流ができることを期待しています。
 この間、様々な「事件」があり、サイエンスと私たちとの関係を考える機会が多々ありました。新型コロナウイルスとの闘いでは、サイエンスの知見が十分に活用されなかったようです。また、ウクライナの戦争では、サイエンスの破壊力に心がつぶれる思いがします。平和でなければサイエンスを心から楽しめません。気候変動や自然災害にはサイエンスが果敢に立ち向かおうとしています。一方、原発の安全性や廃棄の問題では、サイエンスと政治がせめぎ合い、危うく感じます。また、AI・人工知能の進歩は、人間の知能が試されるようです。
 こうしたサイエンスと人間との関係を考えるとき、サイエンスを愛する人は、平和を愛し、人間や地球を愛する人であってほしいと思います。サイエンスデイではそうした「愛」を感じられれば良いなと思います。サイエンスデイの成功をお祈りしております。

東北大学名誉教授、宮城学院女子大学元学長 末光 眞希 さん

 インターネットが発達し、いつの間にか私たちは、「答え」はどこかから探してくるもの、と考えるようになりました。自分で考えることをやめたのです。コロナ禍での毎日が、この態度を強めました。今年になって生成型AIがやって来ました。彼らに何かを問うと、それは見事に嘘と真実をまぜこぜに教えてくれます。私たちにとって今大切なことは、みんなが「これが真実!」と言っていることを本当にそうかな?と思うことです。そのためには、空気(ひとの気持ち)を読むことを一度忘れ、事柄の論理に没頭してみることが大事です。サイエンスはそんな風にして発展してきた人類の英知です。文系も理系もありません。みんなが一度、サイエンスの面白さを知るべきです。不思議だな?と思う気持ちを大切にしましょう。自分で試してみましょう。どんな話も私の人生とどう関わるか考えましょう。そんなことを一日学べる「サイエンスデー2023」です。どうぞお楽しみに!

一般社団法人 東北経済連合会 会長 増子 次郎 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』の開催、誠におめでとうございます。
東北経済連合会(以下「東経連」)では、宇宙誕生の謎に探る素粒子物理実験施設「国際リニアコライダー」(以下「ILC」)等、世界最先端の研究開発プロジェクトの実現に取り組んでいます。東経連では、2016年からサイエンス・デイにILCのブースを出展しています。今年もお子様にもILCに親しんで頂けるように、素粒子のキャラクターを使った輪投げ等を準備してお待ちしています。
 ILCは、日欧米の研究者が中心に検討している国際共同科学プロジェクトで、世界の研究者は、建設候補地に岩手県南部から宮城県北部にかけての北上サイトを希望しています。ぜひILCのブースにお越し、プロジェクトの意義をご理解頂きたく思います。「サイエンス・デイ」が盛会に開催され、子どもたちの科学技術への知的好奇心を高める機会となることを大いに期待しています。

東北大学名誉教授 野家 啓一 さん

 サイエンスデイがコロナ禍を乗り越えて4年ぶりに通常開催されるとのこと、ご同慶のいたりです。コロナウイルスによるパンデミックを引き合いに出すまでもなく、近年の人類的課題は「科学なし」には解決はおぼつきませんが、「科学だけ」でも有効な解決は見出せません。新たなワクチン開発は先端科学の問題であると同時に医療行政の問題でもあり、都市のロックダウンは人権に関わる政治問題にほかならず、飲食店の営業自粛は経済活動に深く根ざしています。このように、科学技術は否応なく「ELSI(倫理的[Ethical]・法的[Legal]・社会的[Social]事柄[Issues]])」と背中合わせになっています。そのため欧米では研究開発予算の数%がこのELSIの検討に当てられています。最近話題の生成型AI(Chat GPT)をめぐる議論もその一例です。若い世代の方々が、自然科学と人文社会科学の知恵を結集し、人類の存続を目指す「総合知」の地平を切り拓いてくださることを願ってやみません。

東北大学大学院理学研究科長 都築 暢夫 さん

 皆さんの周りで起きている自然現象に「なぜだろう」と感じることはありませんか?「なぜだろう」を見つけ、もっと詳しく知りたいと思うところからサイエンス(理学)は始まります。どのようなときに同じ現象が起きるのか、似た現象や違う現象が起きてないかなどをよく観察し、なぜ起きるのか仮説を立て、実験や観察を通して仮説が正しいか確かめます。うまく説明できなかったら仮説を修正し、実験や観察を繰り返します。直ぐにはうまく説明できないかもしれませんが、自分が立てた仮説が正しいと分かったときには喜びが込み上げてきます。自然現象の中に見つけた「なぜだろう」を解明するのがサイエンス(理学)で、多くの人たちのこれまでの努力が積み重なり人類共通の知的財産が創造され、現在も日々新たな解明が加わっています。
 サイエンス・デイでは、皆さんが見つけた自然現象の中の「なぜだろう」について皆さんの手による解明を楽しみにしています。4年ぶりの通常開催なので、「なぜだろう」を解き明かした経験と喜びを、多くの参加者と対話を通して分かち合い、サイエンスの楽しさを一緒に満喫しましょう。

東北大学 副理事(研究担当) 寺田 眞浩 さん

 自然はナゾに満ちています。そのナゾを解き明かすのがサイエンスです。ナゾ解きは難しいですが、その一端を解き明かしたときの瞬間-「わかった!」-は心震える感動を覚えます。それはサイエンスが「面白い」や「知りたい」といった純粋な好奇心や探求心に端を発した「知を求める」人の本質から生じているからです。日常のほんの小さな疑問「なんでだろう」が好奇心に火を灯し、探求心が揺さぶられることで「自然の理(ことわり)」を明らかにする流れが生まれ、やがて「知の創造」へと体系化されていくのです。皆さんが「なんでだろう」と思うことこそがサイエンスの原点であり、ナゾ解きに挑戦する第一歩になります。完全復帰しての開催となる「サイエンス・デイ2023」に参加することで好奇心や探求心が触発され、身の回りに起こっている不思議を感じ取り興味を持つことが、やがて未来の「知の創造」へとつながることを大いに期待しています。

一般社団法人日本機械学会東北支部長 佐藤 裕市 さん

 身の回りを見ると、家電・自動車・工作機械・建設機械など便利で使い勝手の良い製品があふれており、モノづくり国として日本は名を馳せてきました。この発想は、日ごろの様々な出来事を踏まえて、こんな物があったら良いなと言う発想から機能性や耐久性など色々な視点で考えた末に生まれてきています。
 物事を、記憶してそれを活用する「覚える力」も大切ですが、さまざまなことに関心や疑問を抱き自分で考えて物事を解決する力、すなわち「考える力」が社会に出てからはとても役に立つし重要です。
 サイエンス・デイを通して今日一日は「なぜ、なぜ」「どうして」こうなっているのか?小学生の方は、科学を通して考えるスタートラインとして、ベテランは、さらなる高みを目指すためのきっかけとなる、素晴らしいイベントになることを期待しています。

一般社団法人情報処理学会 東北支部長 周 暁 さん

 学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023の開催、誠におめでとうございます。昨年は入場者数を制限した上での開催にも関わらず、たくさんの方々が様々な科学技術に触れ、楽しい思い出を作ることができました。今年は4年ぶりの通常開催ということで、さらに多くの方が来場できることを、大変嬉しく思います。
 情報処理学会東北支部では、情報処理技術の開発によって人々の生活をより豊かにするために日々活動を行っております。情報処理に限らず最先端の科学技術は、身近にあるものであっても「よく分からないもの」になってしまいがちですが、サイエンス・デイは、そのような技術を体感できる貴重な機会となっております。
 また、運営スタッフの皆様の熱意と努力が、サイエンス・デイの成功に不可欠なものであることは間違いありません。特に今年は4年ぶりの通常開催ということで、大変な準備や労力がかかる中、素晴らしいイベントを創り上げてくださり、本当にありがとうございます。今年もサイエンス・デイが、多くの人々に科学技術の面白さや社会に与える影響力を体感していただけるイベントになることを心よりお祈り申し上げます。

東北大学大学院生命科学研究科長 彦坂 幸毅 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』の開催を心よりお慶び申し上げます。科学は「これまでなかったもの」を生み出すことができます。参加者のみなさまには、その「これまでなかったもの」が生み出されようとする瞬間を感じていただけるのではないかと思います。また、最前線で多くの研究者が、研究を楽しんでいる様子を、一緒に楽しんでいただければとても嬉しいです。
 主催者の大草芳江さんは、当研究科在学中に科学教育の重要性に目覚めて起業し、サイエンスデイを2007年から開催されました。以来、震災やコロナ禍にめげることなく、毎年続けられ、本年は第17回を迎えることとなりました。大草さんの志の高さとその根気に敬服するとともに、参加者のみなさまには大草さんのスピリッツも感じていただきたいと思います。

公益社団法人日本化学会 東北支部長 冨重 圭一 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023』が開催されますこと、心よりお祝いを申し上げます。科学のプロセスを五感で感じる日というサイエンスデイのコンセプトは、対面でより力を発揮しますので、2022から対面開催が復活したこと、大変うれしく思います。化学という分野でも、目で見て、香りをかぎ、温度を肌で感じ、音を聴き、もちろんあまり口に含んだりしませんが、そこにある分子の振舞を想像することを楽しいと思って研究をしている方がたくさんおられます。来ていただいた方にこのような楽しみが伝わり、興味を持っていただけると有難いです。カーボンニュートラルやカーボンリサイクルなど、現在重要性が増している課題において、科学、そして化学が果たす役割に期待が集まっています。サイエンスデイでの思い出が皆さんの未来につながると素晴らしいです。

東北大学 大学院工学研究科長 伊藤 彰則 さん

 学都仙台・宮城サイエンスデイでは、未来の科学者・エンジニアの皆さんが最新技術に触れ、その仕組みについて考えることができます。このような科学者やエンジニアの卵たちには、「自分たちの手で世界を変えることができるんだ」という野望を心に抱いてもらうことが何より重要です。サイエンスデイは、多くの学校・研究機関が協力して開催されており、そのような体験を提供する絶好の機会であると思います。楽しい体験コーナーや展示を通して、多くの子どもたちに科学技術に興味を持ってもらい、ひいては科学技術で世界を変える側の人になってもらいたいと願っています。シンギュラリティが迫る現代においては、自ら科学に興味をもって積極的に学ぶことが何より重要になります。すべての参加者にとって、サイエンスデイがそのような機会となることを心から願っています。

学校法人新英学園 仙台歯科技工士専門学校 学校長 伊藤 多佳男さん
(サイエンスデイ オブ ザ イヤー殿堂入)

 コロナ禍による中止,Web開催,縮小開催という雌伏の時を経て,4年ぶりに『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』の通常開催を実現した主催者の皆様の熱意と努力に敬意を表します.「子どもたちの理科離れ」が叫ばれて久しいですが,理科に限らず本来勉強は,教科書の内容を憶えることに終始するものではなく,「これってどうしてこうなるの?」「なるほど,そういうことか!」という面白くて楽しい体験が待っているもののはずです.そして,その勉強本来の楽しさを子どもたちに知ってもらいたいという熱い思いに溢れるサイエンス・デイの会場は,まさに「教えるということは,こちらが差し出したものがつらい義務ではなく,貴重な贈り物だと感じられるようなことであるべきです.」というアインシュタインの言葉を具現化したものであると強く感じます.当日は「科学の子どもたち」が貴重な贈り物をたくさん持って,楽しい思い出とともに帰路に就かれることを心より願っております.

公益社団法人日本分光学会東北支部長 藤井 朱鳥 さん

 自然科学を発展させてきたものは何よりも、考えること、観察すること、そしてそれらを基にして何かを試みることによって得られる喜びです。この喜びは職業人としての研究者や将来の専門家を目指して学ぶ者だけに許されるものでは決してなく、自然とこの世界の理(ことわり)に興味を持つ全ての人に開かれているものだと思います。サイエンス・デイは自然に対する驚きとその理解の喜びを共有しあう貴重な機会です。リモートで体験できることも増えましたが、自分の手を動かして、あるいはその場に立ち会って得られる体験に優るものはやはりありません。新型コロナによる制約がほぼなくなった本年、コロナ以前にも増してサイエンス・デイを楽しむことが出来ることを大いに期待しています。

宮城大学学長 佐々木 啓一 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・ディ2023』が今年もリアルで開催されること、大変うれしく思います。
今、人類は地球規模での気候変動やエネルギー問題などかつて経験したことのない課題を抱えています。この難局を乗り切るには、これまでの知識・技術を超越した発想が必要かもしれません。今、このサイエンス・ディに参加し、キラキラした目でサイエンスに触れる小学生たちは、10~15年後には大学を卒業します。この子たちの未来に期待するとともに、サイエンス・ディの意義に感銘を受けています。私ども、宮城大学も地元宮城が設置する大学として、ともに歩みたいと思います。大草様をはじめとする関係各位の努力に感謝いたします。

一般社団法人電子情報通信学会 東北支部 支部長  山本 健太郎 さん

 仙台・宮城の夏の風物詩である『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』の開催、誠におめでとうございます。今年は4年ぶりに通常開催とのこと、大変楽しみにしております。
 電子情報通信学会は1917年に創立された電信電話学会がその始まりであり、創立以来100 年を超える、非常に歴史のある学会です。本会は電子・情報・通信および関連する分野の国際学会として、光り輝く未来に向けた人材の育成に貢献することを目指しています。2020年7月より主に小中高生を対象としたジュニア会員制度が始まりました。会費無料で会員になることができ、様々な特典が用意されています。研究者の卵として、電子・情報・通信の研究分野における学会活動を体験したい小中高生はぜひ入会してください。
 サイエンス・デイに来場された皆さんが好奇心をもって科学に触れることで新しい発見につながり、科学に携わる様々な方々との交流の輪が広がることを心より期待しています。

東北大学理事・副学長(企画戦略総括) 青木 孝文 さん

 実は、私は子供のころから現在に至るまで、サイエンス・フィクション(SF)、特に、ハードSFが好きです。ハードSFというのは、科学の知識をテーマの中心にしたSFです。遠い未来のテクノロジーは、私たちにとって、そもそも「ブラックボックス」ですね。そのブラックボックスの中身を想像してみるということが好きでした。
 最近のガンダムにも、「軌道エレベーター」など、まだ人類が実現できていないアイディアが出てきます。そういうのを見るにつけ、子供のころにA.C.クラークの「楽園の泉」などを読んでいた私としては、「そんなの知ってるもんね」、と思ったりするわけです。大人になってからは、「軌道エレベーターみたいな巨大構造物を作るには、材料科学のブレークスルーが必要だな」とか、「いやいやその前に経済的な課題の方が大きいな」などと、ちょっと夢がなくなったりしながらも、想像するわけです。
 さて、大学では、コンピューターで人間の視覚の機能を実現する研究に取り組んでいいます。研究活動では、SFを楽しんだときに培った「想像力」が、実はたいへん役に立っています。ぜひ、大人も子供も一緒になって、想像力を働かせながら、サイエンスデイをエンジョイしてください!!

一般財団法人みやぎ産業科学振興基金理事長、東北大学名誉教授 伊藤 弘昌 さん

 学都「仙台・宮城」はこれまでに、世界が認める輝かしい偉業を数多く輩出してきた。初期の発明としてよく知られる八木・宇田アンテナ、岡部マグネトロン、センダストなどの1920-30年代のものは、そろそろ誕生100周年を迎える。その後の100年の間にも、世界トップの研究成果創出は枚挙に暇がない。毎年、年末のノーベル賞発表時に、受賞の期待される現役の研究者も数多くいる。この流れを引き継ぎ、さらに新たにするのが若い次の世代である。科学の楽しさ、面白さ、わくわく感を肌で感じてもらえるように工夫した「サイエンス・ディ」の催しは重要である。若い年代の人たちがこの催しに参加し、楽しく感じながら、将来ともに歩み始める人が一人でも多くなるよう期待したい。その企画運営は、情熱的に取り組む人たちに現在では支えられ活動するまでに育ってきたことに、敬意を表するとともに、その重大性は一層大きい。応援したい。

公益社団法人日本金属学会 東北支部長 福山 博之 さん

 今年も小中高生がワクワクするサイエンスデイがやってきました。2007年から続いているこのイベントは、40人からスタートし、今や1万人を超える大イベントに成長しているそうです。数10年前、とある田舎に住む小学生だった私は、自然に囲まれて暮らしながらも毎月送られてくる子供向け科学雑誌のふろくが待ち遠しい、そんな小学生でした。ほとんど覚えていないので、昔のふろくをググってみると、水陸両用プロペラカー、オーバーヘッド幻灯機、ライト顕微鏡、色水マジック実験セット、球根セット、星座スコープとか次々に懐かしいものが出てきました。今から思うと簡単なプラスチックでできたものばかりですが、配達のおばさんが来るのが何よりの楽しみでした。サイエンスデイは、現代の子供たちにとって科学の不思議を体験できるリアルなふろくの集まりです。子供たちの思い出に残る一日となることをお祈りしています。

特定非営利活動法人 科学協力学際センター代表理事、東北大学名誉教授 川添 良幸 さん

  杜の都仙台にはオリジナルが一杯あります。日本の水力発電発祥の地は市内三居沢です。金属材料研究所で発明された磁性粉体はセンダスト(仙台の塵)と揶揄されましたが記録媒体用材料のほぼ全てで使われています。太平洋戦争の敗因の一つとされる米軍による日本の無線暗号解読には、日本軍より先に電気通信研究所発明の八木アンテナが使われました。仙台オリジナルは他にも沢山ありますので調べて見て下さい。年齢によらず誰でも参加でき誰でも賞を出せるサイエンス・デイは仙台発祥のオリジナルです(ノーベル賞をもらうのは夢ですが、ノーベル賞以上のオリジナルな賞を作れればもっと素晴らしいことなのです。)。仙台・宮城に留まらず、国内外からの参加・出展が増え、同様の企画が国内外に広がることが期待できる素晴らしい企画です。皆様の参加、支援、応援をお願いします。

東北大学 理事・副学長(教育・学生支援) 滝澤 博胤 さん

 今年も学都「仙台・宮城」サイエンスデイ2023を迎えることとなりました。サイエンスの入り口は「観察する」こと、「見て、触れて、実感する」ことです。この体験型イベントを通じ、これまで見聞きしたことのない世界、体験したことのない世界を実感し、その感動を心に抱いて未来を創造する志を育んでいただきたいと願います。ここ仙台、宮城には長い歴史に育まれたサイエンスの土壌があります。今年のサイエンス・デイは4年ぶりの通常開催ということで、高校や専門学校、高専・大学、地域クラブ、企業など、この地に集う多くの機関が展示や体験イベントなどの多彩な催しを企画しています。参加する皆さんの探究心に火を灯す素晴らしい機会となることでしょう。今日の感動を胸に、未来の姿を創造していきましょう!

東北経済産業局長 戸邉 千広 さん

 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2023』の開催、誠におめでとうございます。今日の社会は、科学技術により支えられ、発展してきました。一方で私たちは、科学技術の原理や構造について良く知らない事もしばしばあります。
 本イベントは、「科学って、そもそもなんだろう?」をテーマに、私たちが目にしにくい部分に光を当て、子どもから大人まで、楽しみながら原理や構造を体感できる貴重な機会です。
 日々の生活の中で生まれる知的好奇心は、新たな発見をもたらし、明日の社会を切り開く原動力です。本イベントを通して、皆さまの中で好奇心の扉が開かれ、心豊かな社会がつくられていくことを期待しております。

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